2016年09月09日

優紀も総二郎に微笑んだ

優紀も総二郎に微笑んだ

高級車が並ぶ夜の街でもひときわ目立つ黒のリモが停まると類が降り、続けてあきらと総二郎が降りた。

つくしの声が届かないほど広い車道の向こう側のことだというのに、女の子の黄色い歓声がはっきりと聞こえる。

信号が青になるとつくしは優紀の手を握って向かいの歩道に向かって突然走り出した。

「類ー!」

つくしの声に気がついた三人は立ち止まった。

信じられないくらいの数の人だかりがF3の周りを取り巻き、優紀はひとの肩越しにつくしが堂々とその真ん中に立ち三人と話しているのを遠くから眺めた。

優紀とつくしの繋がれていた手はいつの間にか離れてしまい、優紀は人だかりのなかに混じっている。

つくしは三人と一緒にいてもキラキラして、かわいくて、やっぱり特別なんだなと改めて感じた。

総二郎も楽しそうに笑いながら話していて、優紀は今日はなんてラッキーと小さく微笑んだ。

ドキドキして俯いていないと涙がこぼれそうで、優紀は小さく深呼吸をする。

「優紀ちゃん!」

コートの上からぎゅっと二の腕を掴まれるとひとごみから無理やり引っ張りだされ、よろよろと優紀はそのひとの胸にぶつかった。

「優紀ちゃん、なにしてんの?おいで」

きゅっと力を込めて握られる自分の右手微創手術


「あ・・・」

「ごめん、優紀。いつ手が離れちゃったんだろ?置いてけぼりにして、ごめんね」

「う、うん、大丈夫」

優紀には行く先は分からないが四人はどんどん歩いていき、優紀の右手はまだきゅっと握られたままだった。

「西門さん、よく優紀のいる場所すぐにわかったね。
意粉醬西門さんが助け出すまで、わたし優紀のこと全然見えなかったよ」

「そうか?オレはすぐに見つけられたよ」

総二郎はこともなげにそう言うと優紀に優しく微笑んだ。

前を歩く三人にはふたりの繋がれている手は見られていないくて、これはただ離れてしまわないように繋いでいるだけ。





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